野田屋流匠の技 「蒸し」


             入谷鬼子母神門前「のだや」当主 談

                                    2015年5月12日


 

今回は【野田屋流匠の技・蒸し】編を説明させて頂きますので、宜しくお願い致します。  

前回の【素焼き編】でご説明したように、“身側は美しい白”で
“皮側は星のような細かい焼き目”の入った綺麗な“素焼き”が出来ましたら、
次は、下地処理で最も熟練を要する“蒸し”作業に入ります。  

何故に、「蒸し器」で蒸すだけの“蒸し”作業が、
熟練技を必要とする程重要かと云いますと、正しく“蒸し”作業こそが、
関東流「江戸焼き」の真骨頂と云えるからです。   

関西流「地焼き」には無い“蒸し”作業によりまして、
“素焼き”状態から、余計な脂分と雑味を取り除き、
適度な柔らかさと旨みの凝縮した状態にしてこそ、
本焼き工程の“万遍返し”が可能になるからです。  

しかし、この“蒸し”作業が中々厄介な工程であるのは、
活鰻によって“蒸し時間”に個体差があるからです。

天然鰻(当店では資源保護の見地から扱いませんが...)や、
愛知三河産や九州産、或いは「幻の鰻」の共水まで、
全産地に措いて“蒸し”時間が異なりますし、
同じ産地の活鰻でも個体差が生じる時もあります。
(またの機会に、産地毎の活鰻の特徴について述べたいと思います) 

当店の方針では、“蒸し上げ”のタイミングは、
『耳たぶ程の柔らかさ』が最上だと思っております。
何故ならば、それより硬いと皮が口に残りますし、
それより柔らかいと小骨が口に残りますので、
『耳たぶ程の柔らかさ』こそが、当店の真骨頂である“万遍返し”に
最も適しているからですし、このように、全ての素焼きを
『耳たぶ程の柔らかさ』に仕上げる為には、
“蒸し”の状態を何度もチェックする“目利き”が必要となってくるのです。

その為に、当店にご来店頂いたお客様には、当日の活鰻の状態に応じて、
30分〜60分の待ち時間をご了解頂くようにしております。
どうです? うなぎ屋さんの待ち時間の理由がご理解頂けましたでしょうか?

賢明な読者皆様にアドバイス致しますと、行きつけのうなぎ屋さんで、
何故か『蒲焼が手早く提供』されたり、個体差のある素焼きを
『タイマーで蒸し時間を計測』するような仕事を見かけたら
.....???.....かも知れませんネ。

「割き」「串打ち」「素焼き」「蒸し」の工程を、
【野田屋流・匠の技】のように妥協する事無く美しく仕上げてこそ、
写真のような「筏蒲焼」も完成するのです。


 
 

          
           

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