前回の【野田屋流“匠の技”割き編】は、おかげさまで大好評でございましたので、 今回は「串打ち」編をご説明しようと思います。 うなぎ好きな皆様は、色々なお店で「蒲焼」を召し上がっていると思いますが、 形が綺麗な長方形だったり、そうでない楕円形だったり、 肉厚がふっくらしていたり、薄い干物のようだったりと、 様々な形の蒲焼がある事に気付いている事と思います。 実は、蒲焼の形を決めるのは「串打ち」の技術次第なのです。 「割き」編でご説明したような、綺麗な割き上がりの活鰻でも、 「串打ち」次第で、蒲焼の形状が決まってしまいますので、 “匠の技”の要の技術と云えるかも知れません。 そもそも、「串打ち」には美的センスが備わっている事が不可欠ですので、 例えるならば、お刺身やオードブルの盛り付けセンスに通じるものがあります。 順を追って説明しますと、綺麗に割いた活鰻でも、 生肝の入っていた腹身の部分は凹んでおりますので、 その部分を持ち上げるようにして竹串を挿入してゆきます。 活鰻の大きさにもよりますが、当店では、大きさに応じて4本から9本の竹串を 挿入して蒲焼を支えるようにします。 関西風の金串と違って、竹串は挿入する時、摩擦が結構ありますので、 支える指の力も要求されますし、強靭な皮膚(串ダコの有る)でなければなりません。 そして、僅か1p以下の肉厚の真ん中を、 “編む”ように竹串を進めるのですから(この神技によって、 柔らかく蒸しても壊れない“万遍返し”が出来るのです)、 正しく熟練の技が必要とされる事がご理解頂けると思います。 (下の仕込み写真を参照の事) そして、竹串を適宜な本数挿入後に形を整えますが、 上から見ると綺麗な長方形に仕上がりまして、断面から見ると、 1p以下の薄さが、秘伝の串打ちによって肉厚になっており、 その表面は光沢を放ちつつ、限りなくフラットな状態になります。 その結果、本焼き時“匠の万遍返し”によりまして、 表面がフラットなので、必要以上のタレが付着する事も無く、 光沢のある“ふっくら”した飴色の蒲焼が完成するのです。 これが【うなぎ料理人総本家“匠の技”串打ち編】ですが、 今回は、完成した蒲焼を断面から撮影しましたので、 串の挿入部と蒲焼の厚みが分り易いと存じます。 最後に、うなぎファンの皆様に、“串打ち”のチェックポイントを お教えしますと、串が付いたままの蒲焼で販売されている商品を 観察すると、今回の説明が良く理解出来ると思いますよ(^_-) 以上のようにご説明致しましたが、まだ【野田屋流の串打ち】には、 当主自らが「一子相伝」で伝承している奥義がございます。 それはここではご説明できませんが、そのヒントは、 当店の蒲焼の“ふっくらさ”にありますので、 当店ファン皆様の味覚で解明してみて下さいませ(^_-) 長々とお付き合い頂きましてありがとうございましたm(__)m 皆様の御来店を、従業員一同心よりお待ち申し上げております<m(__)m> *入谷のうなぎ「のだや」ページへ。 |