うなぎの<焦げ>は
      <捌き>にも関係している?


             入谷鬼子母神門前「のだや」当主 談

                                    2015年4月23日



今回は、活鰻の『割き』について解説させて頂きます。

意外と知られていませんが、
『割き』が蒲焼完成時に、
「飴色」に仕上がるか、「焦げ色」になってしまうかに大きく関わっているのです


何故ならば、切れ味鋭い庖丁で、血糊も付けずに美しく割けた活鰻は、
『素焼き』でも白く仕上がり、蒲焼は『万遍返しの本焼き』によって
“黄金色のような飴色”に仕上がりますし、白焼きに仕上げても、
“艶のある乳白色”に仕上がります。

しかし、切れ味鈍い庖丁で、血糊ベッタリに破いた(割くのでは無く)活鰻は、
『素焼き』では黒くなって、蒲焼にすると、焦げの多い状態になり、
白焼きにすると“黒焼き”になってしまいます。

当店ファンの“うなぎ通”の皆様には、もうご理解頂けたと存じますが、
血糊ベッタリに破いた活鰻の身質の表面は凹凸で、
余計な血糊が染み込んでいますので、『本焼き』しても、
強い焦げが付着して決して飴色には仕上がりません。

一方、切れ味鋭い庖丁で、血糊も付けずに美しく割けた活鰻の表面には、
艶のような光沢さえ生まれて、表面もフラットですので、
『本焼き』すると、余計なタレが付着せずに美しい飴色に仕上がるのです。
料理には共通点が多いですが、切れ味鋭い刺身庖丁で切り出したお刺身が、
艶のある光沢を放っているのと似ています。
(色の悪い刺身には、鮮度の他に庖丁使いも関わっているのです)

以上が野田屋流の『割き』の要旨ですが、“言うは易く行うは難し”で、
そもそも活鰻の中骨は三角骨で、しかも生肝(これが焼くと珍味の肝焼きです)が
隠れているので、生肝を避ける庖丁捌きは“繊細且つ精確”を要求されるので、
外科医のメス捌きに匹敵するかも知れませんね。

なので、当店で修業中の若い料理人達は、稀少な天然砥石で、
各自の庖丁を剃刀のように研ぎ上げる訓練と、美しく捌く為の訓練に
日々を費やしております。

ここまで、長々とお付合い下さいましてありがとうございます。
『うなぎ料理人総本家』【割き】編は如何でしたか?
うなぎ好きな皆様も、以上のような知識を持って、
色々なうなぎ屋さんに足を運ばれてうな重を召し上がりますと、
新たな発見があると思います。
また、他店では真似の出来ない、写真のような「総本家の技」は
入谷鬼子母神前に在りますので、今後ともご愛顧の程宜しくお願い申し上げます。



          


           


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